突然ですが、あなたはメールを長文で送ってはいませんか?
先日、顧客先の代表様から相談を受けました。
「うちの社員は、僕に送ってくるメールがとても長くて、結局何が言いたいのかわからないんだ。これって僕の読解力のなさのせい?LMDさんはどう思う?」
早速、そのメールをお見せいただいたのですが、改行も少なく、
スマホで見ると最低でも3スクロールは必須のボリューム感・・・。
カルビ定食を食べた後に、ラーメン大盛りに餃子付きの定食を食べるレベルのモタレ感満載。
ご相談いただいた、この代表様は全社員3,000名規模の社員を抱える経営者です。
日々、やらなければならないことは山ほどあります。
将来を見据えた経営戦略や意思決定、財務、人事、・・・などなどを考えなくてはなりません。
忙しい相手にこそ、思いやりの一つとして、なるべく、簡潔にわかり易い文面で伝えなければなりません。
そんな中、メールもまた相手とコミュニケーションを取る手段の1つ。
下手なコミュニケーションを取れば、相手との関係に亀裂が生じかねません。
そのため、つい丁寧に・・と長文のメールを送ってしまう人も多いのではないでしょうか。
ところが、長文メールは逆に相手の機嫌を損ね、メールを読んでもらえないことも珍しくはありません。
同時に、あなた自身仕事ができない人と思われている可能性があります。
どうして「メールが長い人は仕事ができない」となるのでしょうか?
本記事では、その理由と改善法をまとめました。
メールが長い人は仕事ができない?その理由とは
早速ですが、メールが長い人は仕事ができない理由を見てまいりましょう。
相手をイラつかせてしまうから
単調直入に言いますが、長文メールは相手をイライラさせます。
なぜなら、相手はささっと用件を知りたいからです。
相手がメールを読むときというのは、大体作業に集中しています。
そのため、なるべくコンパクトにやり取りを済ませたいと考えています。
そうした中、長文メールを送られてきたら、相手がイライラするのは言うまでもありません。
人はストレスが溜まると、イライラさせた相手に悪い印象を抱きます。
悪い印象を抱く・・それは相手との信頼関係に溝が生じる危険があるということです。
信頼関係が崩れれば、今後の取引にも大きな影響が出ます。
会社からすれば、取引先との信頼関係を崩すのは絶対避けたいところ。
それにも関わらず、長文メールがきっかけで信頼関係に溝が入れば、社内からも「メールが長い=仕事ができない」というレッテルを貼られてしまいます。
長文=要領の悪さを意味するから
どんな仕事においても、要領が求められます。
要領が悪いと1つの作業を終わらせるのに時間が掛かり、生産性が落ちます。
これをメールに置き換えても同様です。
第三者から見て、長文メールを書く人は「メール作成だけで時間を使っている=要領が悪い」と思われます。
また、同時に仕事ができない人という風に捉えられてしまいます。
このように、メールが長い人は、社内と社外の両方から「仕事ができない人」という烙印を押されるので、該当する人は改善が必要です。
仕事ができる人に?長文メールを直すためのコツ
「メールが長い人は仕事ができない」と思われますが、逆にメールが短い人は「やり取りがしやすく要領の良い人」、すなわち仕事ができる人と捉えられやすくなります。
しかし、普段から長文を書いていると、「どうやって短文にすればいいの?」となりますよね。
そこで本段落では、長文メールを改善するためのコツをまとめました。
最初に結論を書く
文章を書くときは、先に結論から書いてしまいましょう。
長文のメールを書く人は、結論を書かずに経緯をダラダラ書く傾向にあります。
経緯を書くことに集中しているため、結論を書くときには長文になっているのです。
また、他の特徴として、何を伝えたいかがご自身でも分かっていないことがあります。
何を伝えたいか把握できていないので、余計なことを書いてしまいがちです。
例えば、小説や漫画など、ストーリーを書く文章であれば、読み手を楽しませるために、結論(結末)を最後に書きます。
しかし、ビジネスシーンでは、いかに相手と円滑なコミュニケーションを取るかが鍵です。
そのため、結論を最初に書いて、伝えたいことをパパっと書いたほうが相手からのイメージは良くなります。
加えて、結論を先に書けば、自分自身何を伝えるべきかがイメージしやすくなり、コンパクトな文章を書けます。
1文を60~80字以内で収める
1文が長いと、主語と述語が分からなくなり、読み手を混乱させます。
例えば、AとBの文章を見比べてみましょう。
A:今日の晩御飯は、半年ぶりのカレーライスだった。久しぶりに食べたこともあって、いつも以上にカレーが美味しく感じた。特に隠し味の牛乳は、ルーの甘さを絶妙に引き立たせていた。
B:今日の晩御飯は半年ぶりのカレーライスだったけど、久しぶりに食べたのでいつも以上にカレーライスが美味しく、隠し味の牛乳を入れたことも相まって、ルーの甘さが絶妙に引き立たされていた。
いかがでしょうか。
どちらの文章が読みやすいかは、言うまでもありません。
Aの文章は適度に区切っていて読みやすいですが、Bの文章は全文が繋がっているせいで読みにくいです。
文章によっては区切るのが難しく、多少長くなることもありますが、1文につき長くても60字~80字に収めましょう。
必要なことだけを!メールの内容は3行~5行で済ませる
メールの内容は、なるべく3行~5行程度で済ませましょう。
というのも、長文メールを書く人は、余計な内容を書いてしまいがちです。
例えば、Aの案件でやり取りしているにも関わらず、Bの案件のことも書いてしまう感じですね。
Aの案件以外のこと(Bの案件)も書けば、当然メールの内容は長くなります。
すると、本来は3~5行で終わるはずが、8行~10行になってしまいます。
複数に分けて送るのが手間だからと、1回のメールにまとめたくなりがちですが、読み手の気持ちを考えなければなりません。
「自分はこのメールを読みたいか?」と読み手の立場になれば、メールを書くときの意識も変えられます。
1文ごとに改行をする
改行は適度に行いましょう。
なぜなら、文章が連続で続くと目で追うのが大変になって、読み手のストレスが溜まってしまうからです。
しかし、適度に改行を行えば、文章を目で追いやすくなって読み手もスラスラと読めます。
メールの場合、1文ごとに改行するとよいでしょう。
ポイントをまとめるときは箇条書きで
複数のポイントをまとめるときに、役立つのが箇条書きです。
1文に全てまとめようとすると、長文になったり、読み落とししやすくなったりします。
特に読み落としがあると、仕事の進行でトラブルに発展する可能性もあります。
しかし、箇条書きなら1文ごとに区切られているため、読みやすくなって読み落としのリスクを減らせます。
重要なポイントを書くときは、箇条書きでまとめましょう。
冗長な表現を書かない
冗長な表現とは、文章に無駄があることです。
例えば、以下の文章を見てみましょう。
「イルカという生き物は、人間と同じ哺乳類だ」
上記の文章を見ると、「イルカという生き物」で回りくどさが出ています。
では、これを直してみましょう。
「イルカは、人間と同じ哺乳類だ」
いかがでしょうか?先ほどの文章に比べて、だいぶコンパクトになりましたよね。
イルカは大体の人が知っているので、わざわざ「という生き物」を付けなくても、読み手には伝わります。
例えば、あまり知られていない動物や用語の名前を書くときは、「~という」表現を使うのも1つの手です。
しかし、冗長な表現は長文化の要因なので、乱用しないようにしましょう。
送信前に必ず自分で読み直す
メールを送信するときは、軽くでもいいので必ず一度目を通しましょう。
文章を書いているときは案外気付かないもので、見落とすことも珍しくはありません。
例えば、「1文が長くなっている」や「冗長な表現になっている部分がある」などですね。
送信前なら修正できるので、長文の箇所を見つけたらパパっと修正しましょう。
どんな文章が好ましい?テンプレと共に見てみよう
ここまで解説したコツを元に、本段落では実際にテンプレと照らし合わせながら、正しい文章の書き方を紹介いたします。
今回は、取引先に「案件Aの進捗状況」を送る場合のテーマで解説いたします。
悪い例
先に悪い例から見てまいりましょう。
「〇〇様。いつもお世話になっております。△△です。案件Aの状況ですが、社内での協議に思った以上の時間を要しました。どうして協議にそこまで時間が掛ったのかと言いますと、別件とのスケジュールの兼ね合いで、中々納期が定まらなかったり人手を確保できなかったりしたためです。しかし、〇〇様の納品希望に合わせつつ、何とか人員を確保できました。そして、協議の結果、最終納期は9月末、弊社含め5人体制で進める、プロジェクトリーダーは弊社の✖✖で決定しました。それと別件について2点お聞きしたいことがあります。まず1つ目は、資料に書いてあった□□ですが、これは何を意味しますか?2つ目は打ち合わせの日程と場所についてです。日程は8月1日の11時~、場所は●●オフィスで検討していますが、いかがでしょうか?すみませんが、ご確認のほどお願いいたします。」
上記の文章は、お世辞にも読みやすい文章とは言えません。
悪いポイントは、以下の通りです。
・結論を書くのが遅い、協議の結果を記載するまでの経緯が長い:相手はメールで経緯を知りたいとは思わない。
・改行がされていなくて読みにくい:文章を目で追うのが大変
・別件のことを長々と書いている:内容が多すぎて読み手が混乱する
これらの要因が重なって、長文かつ読みにくいメールとなっています。
改善例
では、悪いポイントを意識し、改善した文章を見てまいりましょう。
「〇〇様。
いつもお世話になっております。△△です。
案件Aですが、社内で協議を行った結果、以下の方針で進めていく形となりました。
①最終納期は9月末を予定
②弊社および外注を含め、5人体制で進める予定
③プロジェクトのリーダーは弊社の✖✖で進行
以上、ご確認のほどよろしくお願いいたします。不明な点がございましたら、お気軽に申し付けてください。」
上記の文は、余計な文章が削除され、重要な内容がコンパクトにまとめられています。
重要な部分を箇条書きにしてあるのもポイントです。
そのため、スラっと読めて相手もストレスを感じません。
メールを書くときは、必要な内容をいかに簡単にまとめられるか・・を意識するのが大事です。
また、別件のことを尋ねる場合は、別々で送りましょう。
メールを長文で書いてもいいケース
メールの長文は嫌われがちですが、中には長文で書いても許されるケースがあります。
2つの事例をまとめました。
記載項目が多いとき
メールの内容によっては、記載項目が多くなることもあります。
先ほどのテンプレ文では3つだけでしたが、5~10と記載項目が多いと、どうしても文章が長くなります。
そうした場合は、やむを得ないので、長文で書いても大丈夫です。
ただし、長文になるほど読みにくくなることに変わりはありません。
「ポイントでまとめるところは箇条書きにする」、「1文を短くする」など、工夫して書くようにしましょう。
相手から指示があったとき
「短文では分かりにくいから詳しく書いてほしい」など、事前に相手から指示があったときは、長文になっても問題ありません。
相手から指示があったにも関わらす、簡潔に書いたらそれこそ無礼に当たります。
ただし、先ほども解説した通り、長文になるほど文章は読みにくくなります。
長文でも、読みやすさを意識して書くことを忘れないようにしましょう。
長文以外にも!メールでやり取りするときに気を付けたいこと
ここまでの解説で長文メールばかりに目が行きがちですが、もう1つ気を付けてほしいことがあります。
それは、メールの返信速度です。
ビジネスにおけるやり取りは基本的に大事なことだらけで、中には急な用を要している人もいます。
そうした中、全然返信がないと相手のストレスは溜まり、あなたへの信頼感が下がります。
同時に「返信が遅い=作業が遅い」で、仕事ができない人と見られてしまいます。
そのため、メールを操作できる状況であれば、なるべく早く返信することを心がけましょう。
まとめ
長文メールは、相手を不快にさせるだけではなく、あなた自身仕事ができない人と見られてしまいます。
メールでのやり取りは、ビジネスにおける基本とも言えます。
その基本ができるかできないかで、あなたの評価は大きく変わりますので、これを機に長文メールを改善していきましょう。